2026/06/10 06:48
裏は竹林、目の前は田んぼ
私が育ったのは、典型的な田舎の家でした。
裏手には竹林と栗畑が広がり、家の前には一面の田んぼ。今思えば、子ども心をくすぐる最高の環境です。当時の私はといえば、学校から帰るとランドセルを放り投げて自転車にまたがり、ひとりで田んぼへ飛び出す毎日でした。
カエルを追いかけ、ザリガニを釣り、気づけば全身泥だらけ。怒られると分かっていても、田んぼの泥の感触が妙に好きで、何度でも入ってしまうんです。あの頃の私にとって、田んぼはただの遊び場でした。
ヘビとムカデとカブトムシ
夏になると今度は竹林に出動です。カブトムシやクワガタを捕りに、朝早くから一人で山へ入っていました。
木の幹を裏返すと、ムカデやケムシがわらわらと出てきてぞっとする。歩いていたら目の前にいきなりヘビが現れて腰を抜かしそうになる。そんなおっかない経験を重ねながらも、目的のクワガタを見つけた瞬間の興奮は何物にも代えがたくて。怖いのに毎年懲りずに通っていました。
自然の中で「怖いもの」と「おもしろいもの」が隣り合わせにある——今になって思えば、あの感覚が自分の原点かもしれません。
おじいちゃんの芝生と、サッカー少年
家の横には祖父が丹精込めて育てた芝生がありました。メロン、スイカ、トウモロコシ、ネギ——祖父はゴルフ場のような芝生を作りながら、畑にも田んぼにもしっかり向き合うような人でした。
そんな大切な芝生に、私は毎日サッカーボールを蹴り込んでいました。畑にボールが飛び込んで野菜をなぎ倒してしまうことも一度や二度ではなく、祖父に怒られてばかり。父はサラリーマンだったので農業とは縁がなく、家族の中で土と向き合っていたのは祖父だけでした。
当時は怒られながらも気にしていませんでしたが、今思えば祖父の「育てること」への情熱を、一番近くで見ていたのは私だったのかもしれません。
小さい頃のれんこんとの接点は、ほぼゼロです。食卓に出た記憶もない。でも、泥だらけになることも、自然と格闘することも、大好きな少年でした。
次回は、そんな私がどうやって農業の世界へ足を踏み入れたのかをお話しします。